ずくし | 人妻ナツコの、ろすとばあじん物語

ずくし

熟れすぎた柿は


いつもわたしのところにまわってくる


特別好きなわけじゃあないのに


熟柿はなっちゃんね、となぜか決まっていた



一ト目みただけで中身の柔らかさがわかる


濃すぎるほどの橙


触れると手に重くぺたりとしなだれかかる果実



匙でぷつりと皮をつきやぶると


ずく


ずくずく


ずくずくスル



ぐちゃぐちゃの


ずるずるの


どろどろの


スル



ずくしずくずく


わが身は冷える


厚手の靴下をはいて寝る


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