山田風太郎がスキ | 人妻ナツコの、ろすとばあじん物語

山田風太郎がスキ

家族で食事中、小1の息子と漢字について話していた。


「ちからってカタカナのカ、だよ」


「男にもついてる」と息子。


「そうだねえ。男って字は、田んぼに力だねえ。


田んぼでチカラだして働くのが男の人だったのかなあ?」


ねえ、じゃあ女は習った?」


「うん、くのいち」


「そうそう。知ってるんだねえ」



くのいち、忍法帳。


先日読者のかたのコメントにあったけれど


膣で陰/茎を噛み切るなどという荒唐無稽な忍術が


愉快な娯楽読み物だ。


教訓もない、情緒もない、ただただ荒唐無稽で面白おかしい。


OPと違って「悪者だから倒す」のではない、


伊賀と甲賀だから闘う。


そこに理由などない。


私が勧善懲悪お涙ちょうだい物語にひかれないのはそこかもしれない。


悪者だから倒す。


悪い奴だから、友達を守りたいから、自分が犠牲になってもいい。


・・・おもしろく、ない。


ひとが憎み合うのに理由などないでしょう。


自分と違うから気に入らない、それだけで十分なのだと思う。


国が違う、宗教が違う、そんなの理由がほしいだけなのかもしれない。


確かに憎むという感情は快感を伴っている。


そこに共同意識が加われば一体感が増し高揚もするでしょう。


・・・・めんどくさい。


どうでもいい。


誰に負けてもいいや。


だから、奇想天外な忍術をただただ楽しむ。




先日書店に立ち寄ったとき、


徳間文庫から「人間臨終図鑑」が新装で出ていた。


欲しかったのだけど、えへへ、持ち合わせがなかったので購うことなく帰宅


(主婦の財布の中には1000円とか2000円しか入ってないものなのだ)。


以前読んだことを思い出してみる。


うん、あれは、面白かったよねえ。


世界各国の著名人の臨終の様子、


それが年齢ごとにまとめられている。


「同じ夜に何千人死のうと、人はただひとりで死んでゆく」


いいねえ。風太郎はかっこいい。


流石医学生だっただけあって情緒と別の場所で生きている部分がある。素敵だ。


しかし彼の「育児日記」など、


とてもこまやかな愛情が、静かにゆるやかに大きく流れており


読んでいて


「やだん、風太郎に育てられたいん」


と発情したりほのぼのしたり感心したりと、これも大好きな作品のひとつ。



皮膚炎で悩んでいたとき、


フケで「山田風太郎」と書いてみるとか


庭に「バカ」の形にパン屑をおいて


そのとおりにカラスがとまっている様子を楽しむなど、


随筆も愉快。



だいたいねえ。


鼻の位置に陰/茎があるとか、


「うんこ殺人」て作品があるとか、


もうね、好きでたまりません。



もちろん硬派な風太郎も好きだ。


「戦中派虫けら日記」は何度も何度も読み返している。





夫人と一度もケンカしたことないという逸話もすき。


夫婦は仲良しが一番です。


あー、好き、風太郎。



人妻ナツコの、ろすとばあじん物語



うふー、この風貌も素敵です。


お父さんになってえー。


煙草くさい肩にじゃれつきたーい。



臨終図鑑、かおーっと!


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